一昨年(2008年)のはじめ、井野さんからアクセル・ドナーの来日に合わせてトリオで即興の録音をしたいと言われた。その後、アクセルの来日直前に日程が決まり、急いで会場を探してプランBに決定。ところが、アクセルから井野さんに田中君というドラマーとトリオでアクセルの曲を録音したいと連絡が入る。僕は降りればいいのかなと思ったら、田中君が入ったトリオと僕が入ったトリオと二回録音するということになり、プランBを一日追加。録音はアクセル自身がしたいとのことで、録音の手配はなしで楽チン。あとは当日を待つばかり。だけど、アクセルがやっているのはブァ〜〜〜シューーーだし、井野さんは井野さんだし、ちょっとウ〜と唸ったが楽器を鉄弦とナイロン弦と二つ用意して対応することにした。さて、当日はマイクの位置を確認して録音開始、最初はサウンドチェックのつもりで録音するけど、いつもそれが1曲目になっちゃう。そのまま、もういいかなってなるまで続けて録音終了。モニターが無いので録音の確認はナシ。HDのみが知っている。帰りに井野さんから明日も後から楽器を持って来いよと言われ、翌日も大丈夫かしらと思いながら楽器を持って参上。録音の切れ間に入ると、既に何曲か終わっていて和やかな雰囲気という感じ。早々に楽器を準備して、マイクをセットして、譜面を渡されて、説明もなく録音スタート。譜面を読みながら音を出していくと、井野さんがもっと弾け〜と叫ぶ。まだ読んでるのにと思いながら、そう言われちゃ仕方がないとソロをとる。なるほど、テーマの休符は止まるのかと分かったところで、テイク2が始まる。それで、この曲は終了。次はグラフィックの作品だ。アクセルのグラフィックピースは僕が苦手なインストラクションのまったく無いイラストのみの作品。苦手なのはグラフィックだからではなく、インストラクションがないというところで、このイメージをとかになっても曖昧で困るし、楽譜だから左から右に流れる線の動きをなぞることになる。それで選ぶ音は自由に任せるということだ。でも、即興とは異なり、余白は音を止めるし、時間の進行が作品の形を決める。そこに、同じ図形をながめても複数の異なるタイミングや異なる音色の音が生じることで、その場でしか起こりえない作品に仕上がるのだ。これも、作品だなと思ったところで、次もグラフィックの曲。どうも、僕が入ったからこうなったのか分からないが、おたまじゃくしをあまり見ることがないままに録音は終了。この日も録音の確認なしで、アクセルが持って帰った。そして、アクセルがミックスして選曲したのがこのアルバムだ。即興とアクセル作品集というタイプの異なる2枚を、ダウトミュージックが2枚組みで出すと言う。流石に太っ腹だ。井野さんじゃなくて沼田君。